COLUMN コラム

2025.12.15

建物の印象を決定づける「外壁塗装の色選び」:失敗しないための実践ガイド

ご自宅や所有する建物のリフォームで外壁を塗り替える際、「どんな色にしようか」と悩んだ経験はありませんか?実は、外壁塗装の色選びは、単なる好みの問題に留まらず、慎重に行わないと後で様々なトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。特に、企業の工場やマンション、オフィスビルといった大規模建築物においては、景観への配慮やブランドイメージ、メンテナンス性まで考慮する必要があるため、色選びはより複雑な要素を含みます。

本コラムでは、外壁塗装の色選びにおける重要なポイント、成功させるためのコツ、そしてよくあるトラブルとその対策について詳しく解説します。

外壁塗装の色の選び方:多角的視点から考える

近年、外壁塗装の色の選択肢は非常に多様化しており、カラーバリエーションや色の組み合わせも豊富です。和風、洋風、モダン、あるいは和洋折衷のスタイルなど、デザインや色合いは多種多様に存在します。

しかし、様々な色があるからといって、ただ好きな色に塗ってしまうと、思わぬ失敗を招くかもしれません。色選びは、以下の点に注意して慎重に行う必要があります。

  • 建物のパーツとの調和
  • 耐久性や耐候性への影響
  • 近隣環境や景観との調和
  • 塗料のツヤの有無による見え方の違い

建物のパーツとの調和

外壁の色は、建物のサッシ、ドア、屋根、樋、基礎部分など、他の様々なパーツとの相性を考える必要があります。外壁の色が単独で美しく見えても、他の部分との組み合わせがちぐはぐだと、建物全体の魅力は十分に活かされません。

外壁を塗装する際は、これらの他の部分との色のバランスを総合的に見た上で検討する必要があります。場合によっては、全体の統一感を高めるために、ドアやサッシの色に合わせて外壁の色を選んだり、あるいは付帯部分も外壁と同じ色合いで塗装することも有効な選択肢となります。

近隣環境や景観との調和

ご自身の建物のパーツとの調和も重要ですが、近隣の建物や周囲の環境、そして都市全体の景観との調和も極めて重要です。特に、大規模な建物や集合住宅の場合、周辺に与える視覚的影響は大きくなります。

周囲の景観に溶け込むような色彩を選ぶようにしましょう。鮮やかな原色や過度に明るすぎる色、逆に暗すぎる色は、周囲の環境から「浮いて」見えてしまう可能性が高いため、避ける方が無難です。一般的に、環境に調和する自然な色合いとして、ベージュ、グレー、ブラウンなどのいわゆるアースカラーが人気です。これらの色は、主張しすぎず、周囲の景観と一体感を生み出しやすいでしょう。自治体によっては、景観条例で外壁の色に制限が設けられている場合もあるため、事前に確認が必要です。

塗料のツヤの有無による見え方の違い

塗料に含まれるツヤ(光沢)の有無も、色の見え方を大きく左右する重要な要素です。ツヤの程度によって、同じ色でも全く異なる印象を与えることがあります。

  • ツヤあり塗料: 光沢があり、色が鮮やかに見え、高級感やモダンな印象を与えます。汚れがつきにくく、落ちやすいという機能的なメリットもあります。ただし、光の反射が強く、周囲の環境によってはまぶしく感じられる場合もあります。
  • ツヤなし(マット)塗料: 光沢がなく、落ち着いた柔らかな印象を与えます。和風建築や自然素材を活かしたデザインによく合います。汚れが目立ちやすい場合もありますが、最近では低汚染性のマット塗料も増えています。

ツヤの有無は、天候や太陽光の当たり方によっても見え方が左右されますので、事前に確認するようにしましょう。

成功に導く色選びの秘訣

色選びにはいくつかのコツがあります。これらのポイントを押さえることで、理想の仕上がりに近づけることができます。

  • 色サンプルは「少し薄め」を選ぶ 外壁色を決める際に、小さな色サンプル(塗料メーカーのカタログ色見本など)だけで判断するのはお勧めできません。なぜなら、色は面積が小さくなると実際よりも濃く見え、逆に面積が大きくなると薄く見える「面積効果」という現象があるからです。外壁全体に塗られた際の色は、色サンプルで見た時よりも明るく、薄く感じられる傾向があります。 このため、色サンプルで色決めをする場合は、希望の色よりも「1段階、または2段階」薄い色を選択すると、完成時に希望の色に近づく可能性が高まります。
  • 時間帯ごとの見え方を確認する 色を決定する際には、昼間だけでなく、夕方や夜間にもその色を観察することが非常に重要です。昼間の明るい光の下では綺麗に見える色でも、夕暮れ時や夜間の照明の下では全く異なる印象になることがあります。外壁塗装工事前には、可能であれば大きめの色サンプル(A4サイズ以上、または実際の塗板)を用意し、建物の外壁に立てかけて、昼・夕方・夜の光の下でどのように見えるか確認しましょう。
  • カラーシミュレーションを有効活用する どうしても色が決められないという人、あるいは複数色での配色を検討している場合は、カラーシミュレーションを利用することが有効です。最近では、建物の写真を読み込んで様々な色を試せるソフトウェアやアプリも充実しています。 ただし、カラーシミュレーションはあくまで完成時のイメージを確認する手段であり、モニターの色表示や光の当たり方によって実物とは異なる場合があるため、単独で頼りにするのは避けるべきです。上記の「大きなサンプルでの確認」「時間帯ごとの確認」といった手法と組み合わせて活用することで、最適な外壁色を選ぶことが大切です。

外壁塗装におけるよくある「色のトラブル」と対策

いざ外壁塗装をしたときに、「こんなはずじゃなかった」と、様々なトラブルに発展してしまうケースが多々あります。ここでは、外壁塗装で一番よくある色のトラブルとその対策をご紹介しましょう。

1. 仕上がりの色が思っていたのと違う

最も頻繁に発生するトラブルの一つが、**「色見本で確認したのに、仕上がった外壁を見ると、思っていたものと違う」**というケースです。前述した「面積効果」が主な原因です。

【対策】

  • A4サイズ以上の大きな色見本を確認する: 塗料メーカーのカタログサンプルだけでなく、可能であれば業者にA4サイズ以上の大きな色見本(塗板)を依頼し、実際の外壁に当てて確認しましょう。
  • 屋外の自然光の下で確認する: 色見本は、屋内の蛍光灯の下ではなく、必ず晴れた日の屋外で太陽光に照らされた状態で確認することが重要です。時間帯を変えて見ることも有効です。
  • CGシミュレーションと実物サンプルの併用: 外壁の色をCGなどのシミュレーションで事前に確認することは、全体のイメージを掴むのに役立ちます。ただし、シミュレーションだけに頼らず、必ず実物の大きなサンプルと照らし合わせて最終判断を下しましょう。

2. 色落ちや変色

塗装後、長期間外壁を使用していると、色が落ちたり変色したりすることがあります。これは、太陽の紫外線や雨風といった自然環境による影響が大きく、塗料の耐候性が不足している場合に起こりやすくなります。

【対策】

  • 「耐候性の高い塗料」を選ぶ: このようなトラブルを避けるためには、耐候性の高い塗料を選ぶことが極めて重要です。塗料の種類によっては、紫外線をカットする効果があるものや、顔料が劣化しにくく色褪せしにくい(低退色性)ものがあります。フッ素樹脂塗料や無機塗料など、耐久性の高い塗料は初期費用がかかりますが、長期的な美観維持とメンテナンスコスト削減に繋がります。
  • 業者と相談して最適な塗料を選ぶ: 予算と希望の色、建物の環境(日当たり、立地など)を考慮し、専門業者とよく相談して最適な塗料を選ぶようにしましょう。

3. 塗料の剥がれやひび割れ

塗料が剥がれたり、ひび割れたりすることもよくあるトラブルの一つです。これは色選びとは直接関係ありませんが、塗装工事の品質に直結する問題です。主な原因としては、塗装面の下地処理が不十分であったり、塗料の乾燥が不十分なまま次の工程に進んでしまったりすることが挙げられます。

【対策】

  • 信頼できる業者を選ぶ: 塗装工事を依頼する際には、実績が豊富で、お客様への説明が丁寧な信頼できる業者を選ぶことが最も重要です。
  • 下地処理や塗装工程をしっかり確認する: 契約前に、下地処理の内容(高圧洗浄、ケレン、補修など)や、塗料の重ね塗り回数、乾燥時間といった塗装工程について、詳しく説明を受け、理解しておくことが重要です。優良な業者は、これらの工程を写真などで記録し、報告してくれるはずです。

外壁塗装の色選びは、建物の「顔」を決めると同時に、機能性や耐久性にも深く関わる重要な決断です。慎重に選び、後悔のない外壁塗装を実現しましょう。

【水蔵からのお知らせ】外壁塗装イメージアプリで色選びをもっと楽しく!

株式会社水蔵では、お客様ご自身がご自宅や建物の外壁塗装後のイメージを具体的にしていただくためのオリジナルアプリを活用してお客様のご自宅の外観をそのままにその場でシュミレーションしています。様々な色の組み合わせを家族や関係者の方々と一緒に楽しみながら試せるシュミレーションとなっていますので、是非ご活用ください。


まとめ:外壁塗装の色選びは「バランス」と「プロの視点」で

外壁塗装の色選びは、単に好みの色を選ぶだけでなく、建物のパーツとの調和、近隣住宅や景観との相性、そして塗料のツヤの有無や耐候性といった機能面まで、多くの要素を慎重に考慮する必要があります。

色サンプルだけで判断すると、完成時の色がイメージと異なる「面積効果」によるトラブルが起こりやすいため、A4サイズ以上の大きなサンプルを屋外の自然光の下で、昼・夕方・夜の異なる時間帯に確認することが重要です。カラーシミュレーションも有効なツールですが、実物での確認を怠らないようにしましょう。

また、耐候性の高い塗料を選ぶことは、色落ちや変色、塗膜の剥がれといった将来的なトラブルを防ぐ上で不可欠です。これらのトラブルは、初期の塗装品質や使用塗料に起因することが多いため、信頼できる専門業者と十分に相談し、納得のいく色選びと高品質な施工を実現してください。

株式会社水蔵は、お客様の理想を形にし、長期にわたって美観と機能を保つ外壁塗装をご提案します。色選びでお困りの際は、お気軽にご相談ください。

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