COLUMN コラム

2025.12.21

冬場の結露は「壁の内部」で起こっているかも?見えない場所の「内部結露」の危険性

冬になると、窓ガラスに水滴がびっしりとつく「結露」を経験したことがある方は多いでしょう。これは、室内の暖かい湿った空気が冷たい窓ガラスに触れて冷やされ、水滴となって現れる現象です。しかし、実はこの目に見える結露以外にも、建物の壁の内部で「内部結露」が起こっているケースがあり、これが非常に危険な問題に繋がることをご存じでしょうか。

内部結露は、その名の通り、壁の中や天井裏といった目に見えない場所で発生するため、発見が遅れがちです。放置すると、建物の構造に深刻なダメージを与え、住む人や利用する人の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。本コラムでは、内部結露のメカニズム、その危険性、そして対策について、個人宅と企業施設の両方の視点から解説します。

内部結露とは?見えない場所で何が起こっているのか

通常の窓ガラスに発生する結露は、文字通り「表面結露」と呼ばれます。一方、「内部結露」は、建物の壁や屋根、床の内部、つまり断熱材と外壁材の間や、壁を構成する木材の内部などで発生する結露を指します。

内部結露が発生する主なメカニズムは、以下の通りです。

  1. 室内の湿った空気が壁内へ侵入: 冬場、暖房で温められた室内の空気は、外部よりも湿度が高くなります。この湿った空気が、壁の隙間やコンセント周りなどから壁の内部へ侵入します。
  2. 壁の内部で冷やされる: 侵入した暖かい湿った空気は、外気の冷たさに影響された壁の内部で冷やされます。
  3. 水蒸気が水滴化: 空気中の水蒸気が急激に冷やされることで、露点温度以下になり、水滴となって結露が発生します。

この水滴が壁の内部に蓄積され続けることで、様々な問題が引き起こされます。

内部結露が引き起こす深刻な問題:個人・法人それぞれのリスク

内部結露は目に見えないため、「知らないうちに」進行していることがほとんどです。しかし、その影響は建物の寿命や健康に大きなリスクをもたらします。

個人のご自宅の場合

  • 断熱性能の低下と光熱費の増加: 断熱材が水分を含むと、本来の断熱性能が著しく低下します。これにより、冬は室内の熱が逃げやすくなり、夏は外からの熱が侵入しやすくなるため、冷暖房の効率が悪くなり、光熱費が上昇します。
  • カビ・ダニの発生と健康被害: 湿潤な壁の内部は、カビやダニにとって最適な繁殖場所となります。発生したカビの胞子やダニの死骸、フンなどが室内に拡散することで、アレルギー性鼻炎、喘息、皮膚炎などのアレルギー症状を引き起こしたり、悪化させたりする原因となります。
  • 木材の腐朽と構造体の劣化: 壁内部の木材が常に湿った状態になると、腐朽菌が繁殖し、木材が腐り始めます。またシロアリが住み着く絶好の巣となり、これらは、柱や梁といった建物の主要な構造材の強度を低下させ、耐震性の低下や建物の寿命短縮に直結する非常に危険な問題です。
  • 壁や天井のシミ、異臭: 内部結露がひどくなると、壁紙にシミができたり、剥がれたりすることがあります。また、カビや腐朽によるカビ臭い、湿っぽい異臭が室内に漂うようになることもあります。

法人の建物(オフィスビル、工場、店舗など)の場合

  • ランニングコストの増加: 断熱性能の低下は、大規模な施設では特に冷暖房費の増加に直結し、企業の運営コストを圧迫します。
  • 建物の劣化加速と資産価値の低下: 構造材の腐食は建物の安全性と耐久性を脅かし、結果的に大規模な修繕や建て替えの必要性を生じさせ、高額な費用が発生します。また、内部結露による劣化は、建物の資産価値を著しく低下させます。
  • 従業員や顧客への健康被害と訴訟リスク: 建物内で発生したカビやダニが、従業員や顧客の健康に悪影響を及ぼした場合、企業は安全配慮義務違反に問われる可能性があります。健康被害による労働生産性の低下や、訴訟問題に発展するリスクも考慮しなければなりません。
  • 製品品質への影響: 倉庫や工場などで内部結露が発生すると、保管されている製品や製造過程にある材料が湿気やカビの影響を受け、品質低下や不良品の発生に繋がる可能性があります。これは企業の信頼性にも関わる重大な問題です。
  • 企業イメージの悪化: 環境管理や施設管理の不徹底は、企業イメージの悪化に直結し、ESG投資の評価にも影響を与える可能性があります。

内部結露対策に有効な「外壁塗装」と「断熱リフォーム」

内部結露を防ぎ、建物の健康を守るためには、建物の外壁や断熱性能を見直すことが非常に有効です。

  • 外壁塗装による防水・透湿性の確保: 外壁の塗膜が劣化すると、雨水の浸入を防ぐ機能だけでなく、壁内部の湿気を外部に適切に排出する「透湿性」も低下する場合があります。高機能な外壁塗料には、優れた防水性を保ちつつ、内部の湿気を外に逃がす**「透湿性」に優れた塗料**があります。これにより、外部からの水分の侵入を防ぎつつ、内部にこもりがちな湿気を適切に排出することで、内部結露の発生リスクを低減できます。また、外壁のひび割れや隙間を補修することで、湿った空気が壁内部に侵入する経路を遮断することも重要です。
  • 断熱リフォームによる壁内温度の均一化: 内部結露は、壁の内部に温度差が生じることで発生します。断熱材の適切な施工や、性能の高い断熱材への交換といった断熱リフォームを行うことで、壁内部の温度を均一に保ち、露点温度に達することを防ぎます。これにより、内部結露の発生を根本的に抑制することが可能となります。貴社のような専門業者は、建物の構造や環境に応じた最適な断熱材や施工方法を提案できます。

内部結露の疑いがある場合のチェックと対応

目に見えない内部結露は、異臭や以下のサインで気づくことがあります。

  • 壁紙のシミや浮き
  • 壁を触るとひんやりと湿気を感じる
  • 壁や床からカビ臭い臭いがする
  • 電気のスイッチやコンセント周りにカビが発生している

これらのサインに気づいたら、自己判断せずに、すぐに専門業者に相談することをお勧めします。専門家は、非破壊検査機器(サーモグラフィなど)を用いて壁内部の温度や湿度の状態を把握し、内部結露の有無や原因を正確に特定することができます。

株式会社水蔵では、建物の外壁・防水の専門家として、内部結露に関するご相談も承っております。建物の診断から、適切な外壁塗装や断熱リフォームの提案、そして施工まで一貫してサポートし、お客様の大切な建物を内部結露の危険から守ります。気になる点がございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。

まとめ:見えない危険「内部結露」から建物と健康を守ろう

冬場の「内部結露」は、窓ガラスの結露と異なり目に見えない場所で進行するため、気づきにくいながらも、建物の寿命や住む人・利用する人の健康に深刻な影響を及ぼす隠れた危険です。断熱性能の低下による光熱費の増加、カビ・ダニの発生による健康被害、そして構造体の腐朽による建物の耐久性低下は、個人にとっても法人にとっても大きなリスクとなります。

内部結露を防ぐためには、外壁塗装による適切な防水・透湿性の確保や、断熱リフォームによる壁内温度の均一化が非常に有効です。 もし建物の異臭や、壁紙のシミ、カビの発生といったサインに気づいたら、決して放置せず、速やかに専門業者へ相談し、正確な診断と適切な対策を行うことが、建物の健全性を保ち、安心安全な環境を守るための鍵となります。

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