COLUMN コラム

2025.10.20

企業の資産価値を最大化する:工場・マンション・オフィスビルの外壁塗装で最も重要な「下地処理」戦略

建物の外壁塗装を実施する際、多くの方が上塗り塗料の耐久性、色味、あるいはセルフクリーニング機能といった「表面的な性能」に目が行きがちです。しかし、どれほど高性能な塗料を選んだとしても、**「下地処理」**が適切に行われなければ、その真価は発揮されません。

工場やマンション、オフィスビル、商業施設といった大規模建築物において、下地処理の品質は、単に美観を左右するだけでなく、建物の長期的な保護、ひいては企業の資産価値や事業継続性にも直結する極めて重要な要素です。

本コラムでは、外壁塗装における下地処理の重要性、具体的な方法、そしてその費用相場を詳しく解説します。建物の美観を長く保ち、その価値を最大化したいとお考えの法人ご担当者様、そしてご自宅の外壁塗装を検討している個人のお客様は、ぜひ参考にしてください。

外壁塗装の「要」:下地処理はなぜ重要なのか?

塗装前の下地処理の役割:塗料の性能を最大限に引き出す

下地処理、または下地調整とも呼ばれるこの工程は、外壁塗装の前に必ず行われる「基盤」となる作業です。その目的は、塗料が外壁面にしっかりと密着し、本来の性能を最大限に発揮できるようにすることにあります。

一見きれいに見える外壁でも、長年の風雨や紫外線にさらされることで、目には見えないホコリや砂塵、カビやコケ、さらには排気ガスの微粒子などが付着しています。また、小さなひび割れや塗膜の浮き、剥がれが生じていることも珍しくありません。

これらの異物や劣化箇所を放置したまま塗装を施しても、塗料が下地に適切に密着せず、不具合の原因となります。洗浄や補修といった下地処理を丁寧かつ正確に行うことで、外壁面を清潔で滑らかな、塗料にとって最適な状態にし、塗装を美しく仕上げ、その耐久性を飛躍的に高めることができるのです。

下地処理が不十分だとどうなる?:早期劣化とコスト増加のリスク

下地処理が不十分だと、以下のような深刻な問題を引き起こす可能性が高まります。

  • 塗装の仕上がりの悪化: ムラや凹凸が生じ、見た目が損なわれます。特に大規模建築物では、美観の低下が企業イメージに直結します。
  • 塗料の早期剥がれ・ひび割れ: 塗料が下地に密着していないため、施工後すぐに剥がれたり、ひび割れが生じたりするリスクが高まります。
  • 建物の劣化加速: 塗装本来の保護機能が働かず、外壁材自体が直接風雨や紫外線にさらされ、劣化が早く進行します。
  • 再塗装の頻度増加とコスト膨張: 上塗り塗料の多くは「10年」や「15年」といった耐久年数の目安が表示されていますが、下地処理が甘ければ1年足らずで不具合が発生するなんてこともあり、結果として再塗装の頻度が増え、長期的なメンテナンスコストが膨れ上がる要因となってしまいます。

下地処理の具体的な方法と費用相場:プロの作業工程

ここからは、外壁塗装における下地処理の具体的な方法と、その一般的な費用相場を詳しく紹介していきます。

1. 洗浄:汚れと異物の徹底除去

  • 作業内容: 外壁の洗浄では、主に高圧洗浄機を使用して、壁面に付着した汚れやホコリ、カビ、コケ、旧塗膜の浮きなどを強力に洗い流します。手の届きにくい部分やデリケートな箇所は、ブラシなどを用いた手作業で丁寧に洗浄することもあります。大規模な建物の場合、洗浄専門の業者が担当することもあります。

  • 目的: 塗料の密着性を高め、カビや藻の再発生を抑制します。

  • 費用相場: 200〜300円/㎡

2. ケレン:サビと旧塗膜の除去

  • 作業内容: ケレンとは、金属ブラシ、サンドペーパー、電動工具などを用いて、金属部分のサビや浮いている古い塗膜、脆弱な部分を削り取る作業です。特に金属製の外壁、雨樋の金具、ベランダの手すり、鉄骨部分などにはサビが発生していることが多いため、入念に除去していきます。

  • 目的: 新しい塗料の密着性を確保し、サビの再発を防ぎます。

  • 費用相場: 500〜2,000円/㎡(範囲や劣化状況により変動)

3. コーキング(シーリング)補修:建物の伸縮と防水を担う

  • 作業内容: 「サイディング」や「ALC」といったパネル状の外壁材が使われている建物では、パネル同士の継ぎ目にコーキングが施されています。このコーキングが劣化すると、雨水が内部に染み込み、建物の腐食や強度低下を招く原因となります。そのため、外壁塗装の際には、既存のコーキングの状態に合わせて補修が必要です。

    • 「増し打ち」: 劣化が軽度で既存のコーキングに亀裂がない、且つ新しく打設するコーキングの厚みをしっかりと確保出来る場合、既存の上から新しいコーキング材を補充します。
    • 「打ち替え」: ひび割れや剥がれが激しい場合、既存のコーキングを完全に撤去し、新しいコーキング材を充填し直します。

  • 目的: 外壁材の隙間からの雨水侵入を防ぎ、建物の構造体を保護します。外壁材の伸縮に対応し、ひび割れを防ぎます。

  • 費用相場:
    • 増し打ち:500〜900円/m
    • 打ち替え:700〜1,200円/m

4. セメント補修(モルタル・コンクリート壁の場合):下地の強度回復

  • 作業内容: セメントやモルタル質の外壁で、ひび割れや欠損、もろい部分がある場合に行います。まず劣化部分をハンマーなどで叩き落とし、下地を清掃した後、セメントやモルタルを使用して壁面のひび割れや欠損部分を補修します。これは左官職人の作業のようですが、下地処理の一環として外壁補修業者や塗装業者が行うことがほとんどです。

  • 目的: 外壁下地の強度を回復させ、平滑な面を形成します。

  • 費用相場: 10,000~50,000円/箇所または軒(規模による)

5. パテ埋め補修:細部の仕上げと平滑化

  • 作業内容: 外壁に残る小さな穴や出っ張り、クギ跡、微細な凹凸などがある場合に、パテ材を用いて平らにならします。

  • 目的: 塗装の仕上がりをより滑らかにし、色ムラや凹凸を防ぎ、美観を向上させます。

  • 費用相場: 10,000~20,000円/軒(または広範囲の場合)

まとめ|きれいで長持ちする外壁塗装は「下地処理」が成功の鍵!

いかに高品質で耐久性の高い上塗り塗料を選んだとしても、下地処理が不十分であれば、その塗料は本来の効果を十分に発揮できません。建物の美観を長期にわたり維持し、その資産価値を守るためには、適切な下地処理が必須であり、まさに外壁塗装の「品質を決定づける」工程と言えるでしょう。

また、下地処理への理解が深く、その重要性をきちんと説明できる業者であれば、高い施工精度も期待できます。外壁塗装の見積書を確認する際には、単に塗装費用だけでなく、下地処理の内訳がどれだけ細かく記載されているか、担当者がその内容を丁寧に説明してくれるかなどをチェックすることで、信頼できる塗装業者を見極めることができます。

株式会社水蔵は、外壁塗装と防水工事のプロフェッショナルとして、豊富な経験と知識を活かし、お客様の大切な建物の「基盤」となる下地処理から、高品質な塗料の選定、そして確かな施工までを一貫して提供します。

愛知県で外壁塗装・防水工事をご検討の際は、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。建物の未来を守るために、最適なご提案をさせていただきます。

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