2025.10.31
建物の外壁診断を変革:ドローン調査の全貌と最適な活用法

建物の外壁調査と聞くと、「高額な費用がかかりそう」「調査に何日もかかるのでは」といったイメージから、依頼をためらってしまう方も少なくないかもしれません。しかし、建物の老朽化や現代の過酷な気象状況を考えると、定期的な外壁診断は建物の寿命を延ばし、安全を確保するために不可欠です。
そこで今回は、近年注目を集めているドローンを活用した外壁調査について、そのメリットとデメリットを詳しく解説します。
従来の足場やゴンドラを使用した外壁調査方法では、作業中の転落や足場の倒壊といった重大な事故が多発していました。こうしたリスクを低減し、安全性を高めるために、2022年の建築基準法改正により、ドローンを使用した外壁調査が法的に認められるようになりました。さらに、従来の建物の外壁や構造物の状態を確認するための非破壊検査の一種である**「打診方法」による調査と比較しても遜色ない精度が認められた**ため、外壁調査方法としてドローンを導入する企業が急速に増えています。
ドローン活用による外壁調査の利点
ドローンを使った外壁調査には、従来の調査方法にはない多くの利点があります。
- コスト削減: ドローンを使用しない通常の外壁調査では、建物の外壁全体を覆うように足場を組む必要があります。この足場の設置費用は、一般的な住宅でも約20万円前後と言われていますが、建物の大きさや形状、高さによってはさらに高額になります。また、高層ビルなどの大規模な建物では、ゴンドラを設置する必要があり、これも多大な費用がかかります。 ドローンを使った外壁調査の場合、これらの**足場やゴンドラを設置する必要がないため、初期費用を大幅に抑えることができます。**削減できた予算を、外壁素材のアップグレードや、他の必要な修繕費用に充てるといった柔軟な選択が可能になります。
 
- 安全性の向上: 足場やゴンドラを設置する作業、そこでの高所作業には常に転落や倒壊といった事故のリスクが伴います。ドローンを使用することで、これらの人的事故のリスクをゼロに近づけることができ、作業員の安全確保に大きく貢献します。
 
- 工期の短縮: 足場やゴンドラの設置・解体には、数日から時には数週間を要することもあります。ドローンによる調査であれば、これらの準備期間が不要なため、調査にかかる工期を大幅に短縮できます。これにより、居住者やテナント、事業活動への影響を最小限に抑えることが可能です。
 
- 高精度な点検とデータ保存: 特に赤外線カメラを搭載したドローンを使用することで、従来の目視や打診だけでは難しい、より精度の高い点検を行うことができます。赤外線を外壁に照射し、その熱分布を撮影・分析することにより、外壁内部の漏水箇所、剥離、浮き、断熱材の劣化など、目に見えない微細な異変まで詳細に把握することが可能です。 撮影された画像やデータはデジタルで保存できるため、次回の修繕計画や長期的な建物管理に役立てることもできます。
 
- 正確な見積もりと安心感: 高精度な調査データに基づいて、外壁修繕前に**正確な劣化状況を把握できるため、より適正で詳細な見積もりを取得できます。**これにより、施主は安心して外壁調査やその後の修繕を依頼できるでしょう。
 
これらのメリットを総合すると、初期費用を抑えつつ、調査にかかる工期も短縮できるため、ドローンによる外壁調査は費用対効果に優れた非常に有効な手段と言えます。
ドローン活用における注意点(デメリット)
多くのメリットがあるドローンを使った外壁調査ですが、いくつか考慮すべきデメリットや注意点も存在します。
- 天候への依存: ドローンは空中で飛行するため、風や雨、雪といった悪天候の影響を非常に受けやすいです。特に風は影響が大きく、地上では問題がないように見える風速でも、高所では風の強さが異なるため、飛行に注意が必要です。万が一、強風の中でドローンを飛行させれば、意図しない方向に流されてしまい、人や建物(ご自宅、最悪の場合隣家など)に激突するといった事故を引き起こす可能性があります。悪天候が続くと、調査スケジュールが遅延する可能性があります。
 
- 調査する季節の選定: 赤外線カメラを搭載したドローンは、外壁の状態を効率的に把握できる優れた調査方法です。ひび割れや雨漏りの原因となる異常部分は、わずかな温度差としてカメラに映し出されるため、目視では見逃してしまう箇所も発見しやすくなります。
 
しかし、この「温度差による判断」という仕組みには注意点があります。
外壁が十分に温まらない真冬の季節や、一日の中で気温変化が小さい時期には、赤外線カメラでも温度差を捉えにくくなり、正確な診断が難しくなる場合があるのです。
そのため、調査の精度を高めるためには 季節や時間帯を選ぶことが重要 になります。
たとえば、外壁の表面温度と内部の温度差が大きくなる春や秋の既設や、日射の影響が出やすい早朝・夕方などが適しています。
赤外線ドローン調査は非常に有効な手法ですが、正しいタイミングを選ぶことで、より確実な診断結果につながります。
- 飛行制限区域と周辺環境への配慮: ドローンを使用するに際し、航空法により飛行禁止区域(空港周辺、人口集中地区など)が定められた場所があります。調査を行う前に、建物がこれらの区域に該当しないかを事前に確認する必要があります。 また、電線が集中している場所や、外壁と電線が近い場合、隣家との距離が非常に近い場合などは、ドローンを飛ばした際に接触の恐れがあります。調査を依頼する際には、見積もりの段階で、これらの注意点に対して業者がどのような対策を講じるのかを、事前に確認するようにしましょう。
 
- ドローンの性能と操縦技術: 現在、ほとんどの専門企業が赤外線カメラを搭載した高性能ドローンを使用していますが、中には赤外線機能がない、通常のカメラのみのドローンを使用している業者も存在します。赤外線が搭載されていないドローンの場合は、ドローンのカメラを通じた目視のみとなり、外壁内部の状態を正確に把握することはできません。そのため、事前調査の目的と精度に応じて、業者が使用するドローンの種類や機能について事前に確認することをお勧めします。また、ドローンの性能だけでなく、オペレーターの操縦技術や経験も調査の品質を大きく左右します。実績が豊富で、適切なライセンスを持つ業者を選びましょう。
 
まとめ:ドローン外壁調査で安全・効率的な建物診断を
ドローンを使用した外壁調査は、2022年の建築基準法改正により利用が認められ、従来の打診方法と同等の精度が保証されています。
ドローンを導入することで、高額な足場やゴンドラの設置が不要になり、調査費用を抑えられるだけでなく、高所作業に伴う転落や倒壊といった人的事故のリスクも大幅に減少します。特に、**赤外線カメラ搭載のドローンであれば、外壁内部の劣化や水漏れといった詳細な問題まで把握できるため、より正確な見積もり取得が可能となり、安心して調査を依頼できます。**初期費用の削減と工期短縮により、その分の予算を他の必要な修繕や建物の品質向上に充てられるという大きなメリットがあります。
一方、ドローン調査は天候に左右されやすく、風や雨、雪などの影響を受けやすい点がデメリットです。また、飛行禁止区域や電線、隣家との距離など、周辺環境に応じた事前確認と対策が必要です。これらの点に注意し、適切なドローンと経験豊富なオペレーターを持つ信頼性の高い業者を選ぶことで、ドローンによる外壁調査は効率的かつ安全に行うことが可能になります。
株式会社水蔵では、ドローンを活用した外壁調査にも対応しており、確かな実績と分析力でお客様の大切な建物の状態を正確に診断いたします。愛知県で外壁の点検や修繕をご検討でしたら、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。
							
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