COLUMN コラム

2025.11.15

企業のコンプライアンスと安心を確保:アスベスト調査義務化への対応

アスベスト(石綿)関連の法規改正により、外壁塗装などの改修作業を行う際には、事前にアスベストを含む建材の調査と、その結果の報告が義務付けられました。この義務化は、戸建住宅の塗装などの改修工事にも適用されるため、私たちの生活や企業の建物管理に密接に関わる重要な改正です。

特に、2023年10月からは、アスベストに関する専門的な知識と技能を持つ有資格者による建物調査が必須となりました。

本コラムでは、アスベストの危険性、具体的な法改正のポイント、そして安全かつ法令遵守した業者を選ぶための重要な視点について詳しく解説します。企業の施設管理者様や、建物のオーナー様はぜひご参考にしてください。

アスベストとは? その見過ごせない危険性

まずはじめに、アスベストの危険性について解説します。

アスベスト(石綿)は、見た目は綿のようでありながら、実は天然に産出される鉱物です。その繊維状の岩石は、防火性、断熱性、保温性、防音性、耐薬品性、耐摩擦性といった優れた特性を持つことから、中世から利用され、特に20世紀には建築やその他の産業分野で非常に幅広く使用されてきました。

建築業界では、魔法の建材とも呼ばれスレート屋根材、サイディング板、断熱材、耐火被覆材、塗料、接着剤など、多岐にわたる建材の原料として重宝されていました。しかし、アスベストの繊維が飛散し、これを口や鼻から吸入することで、中皮腫や肺がん、石綿肺といった重篤な健康被害を及ぼすことが明らかになり、深刻な社会問題となりました。

この危険性を受け、日本では1975年に吹き付けアスベストの使用が原則禁止され、その後も段階的に法律や規制が強化されてきました。最終的に2006年には石綿含有率が0.1%を超える製品の製造や使用が禁止され、2012年には完全に製造が禁止されるに至りました。

アスベストの除去は極めて困難:複雑な課題

過去の規制により、アスベスト含有建材の使用は段階的に制限されてきました。そのため、一部の建材は比較的早い時期に使用が中止された一方で、比較的最近まで使用されてきたものもあり、時期によって様々な種類のアスベスト含有建材が存在します。この多様性が、除去作業を非常に複雑にしています。

アスベスト含有建材を取り扱う際には、解体時や改築作業時の方法、また作業環境について、アスベスト飛散防止のための極めて細かい規定が定められています。これは、作業者だけでなく、建物の居住者やテナント、さらには近隣住民に健康被害をもたらさないようにするためです。

このような多様な種類の建材を正確に調査し、適切な規定を遵守しながらアスベストを除去する作業は、専門知識と高度な技術、そして厳格な管理体制が求められる非常に難しいものなのです。

事前調査と報告の義務化:法改正の重要ポイント

アスベスト対策における重要な法改正として、2022年4月からは、改修や解体工事の費用が100万円以上となる場合、アスベストの事前調査を行い、その結果を報告する義務が発生しました。

報告先は、工事の発注元である施主はもちろんのこと、労働基準監督署や自治体(都道府県など)にも及びます。特にアスベストが含まれる建材が見つかった場合、その有無に関わらず報告が必要であり、これは主に作業員の健康を保護するための重要な規制です。これらの規定は、2021年から段階的に実施されており、その内容を十分に理解していない業者も少なくないかもしれません。

ここで注意すべきは、「100万円以上の改修や解体工事」という基準です。戸建住宅の外壁や屋根の塗装工事などでも、総額でこの基準を超えるケースは非常に多いため、個人宅の場合でもこの事前調査義務が適用されることを認識しておく必要があります。

そして、最も重要なポイントが、**2023年10月から導入された「事前調査の実地」における「有資格者の義務化」です。これにより、アスベストの事前調査は、特定の資格を持つ者が実施することが義務付けられました。この事前調査に必要な資格は、「建築物石綿含有建材調査者」**と呼ばれ、この資格を取得するには、「建築物石綿含有建材調査者講習」を受講し、修了証明書を取得する必要があります。この資格を持たない者は、アスベスト調査者として活動することはできません。

有資格者のいる業者を選ぶ重要性

上記の通り、建築物石綿含有建材調査者がアスベストの事前調査を行うことが義務付けられたため、外壁塗装や改修工事を依頼する際には、必ずこの資格を所有している業者を選ぶことが、法令遵守と安全確保のために不可欠です。

業者のホームページで資格保有について確認するか、見積もりを依頼する際に直接質問して確認するようにしてください。また、安価な見積もりを提示する業者には十分に注意が必要です。専門資格を持つスタッフが事前調査を適切に実施し、その結果に基づいて全体の作業見積もりを提供することで、後から予期せぬ追加費用が発生するリスクを大幅に軽減できます。

施主(発注者)側も、アスベストに関する適切な知識を持ち、提示された見積もりや調査報告書を慎重に確認することが重要です。

株式会社水蔵では、建築物石綿含有建材調査者が在籍しておりますので、法令に遵守したアスベストの事前調査から、適切な改修・除去計画の提案までを一貫して行うことが可能です。アスベストに関するご相談やお見積もりは、ホームページのお問い合わせフォームからお気軽にお寄せください。


まとめ:アスベスト調査義務化への確実な対応で、安心と安全を

アスベスト関連の法規改正により、100万円以上の改修・解体工事におけるアスベストの事前調査と報告が義務化され、特に2023年10月からは有資格者による調査が必須となりました。これは、建物の所有者や管理者にとって、見過ごせない重要な変更点です。

アスベストは、過去に広く使用された建材に含まれており、飛散すると中皮腫や肺がんなどの深刻な健康被害を引き起こす危険性があります。その除去作業は非常に複雑であり、厳格な法規制の下で行われる必要があります。

法令遵守と、建物を利用する人々の安全、そして近隣住民の健康を守るためには、「建築物石綿含有建材調査者」の資格を持つ専門業者の選定が不可欠です。安価な業者に安易に依頼せず、資格の有無、実績、見積もりの透明性を確認し、信頼できる業者を選ぶことが、予期せぬトラブルや追加費用の発生を防ぎ、安心して工事を進めるための鍵となります。

株式会社水蔵は、アスベストに関する最新の法規制を遵守し、有資格者による適正な事前調査を通じて、お客様の大切な建物の安全と安心を確保するお手伝いをいたします。

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