2024.05.02
屋上・バルコニーを守る防水・遮熱で長持ち&エコな家づくり
みなさまご存知の通り、屋上やバルコニーに防水塗装が不可欠な理由は、雨水の侵入を未然に防ぐためです。しかし、建物を劣化から守るためには遮熱対策も必須となります。
一般的に防水加工が必要な場所は、屋上・バルコニー・ひさし・マンションの共用通路などになります。
【写真支給】
屋上やバルコニーは雨水を遮断するための防水層を備えた構造になっており、防水層は表面に露出していることもありますが、場合によっては保護コンクリートの下に隠れていることもあります。
しかしこの防水層は時間の経過と共に劣化し、ヒビや穴が生じると雨水が侵入し、やがて雨漏りが発生し屋内や建物本体に深刻な被害を与えてしまいます。そこで、建物の劣化を早めてしまう恐れのある雨漏りを、未然に防ぐために防水塗装を施さなければなりません。
そして、建物の劣化を防ぐためには、適切なタイミングで適切な防水塗装のメンテナンスが必要になり、近年では遮熱対策も必須要素になっています。
防水工事のメンテナンスについての記事はこちら→「防水工事後の保守・メンテナンスが必要な理由」
ではなぜ遮熱対策もした方が良いのか、その理由を解説します。
遮熱対策も必要な理由とは
一般的な防水加工といえば「ウレタン塗膜防水」ですが、近年ではそれに加えて遮熱対策もした方が良いとされています。理由は以下のようなものが考えられます。
・近年の異常な気温上昇
・熱がウレタンの防水剤に悪影響を及ぼす
・劣化が早まり施工から2~3年で不具合が出る
・熱によるダメージ報告が増加している
それぞれ詳しく解説していきましょう。
近年の異常な気温上昇
最上階は直射日光にさらされる事から冷暖房が効きにくく、エネルギー効率も悪くなってしまうため、エコの観点でも遮熱対策を行うことは非常に効果的といえます。特に、近年の異常な気温上昇を考慮するとその効果は絶大です。
遮熱対策を施すことで、屋内の温度を安定させることができ、快適な環境を保つことができます。また、冷暖房のエネルギー消費量が削減されるため、建物全体のエネルギー効率があがります。
それに加え、近年の電気代高騰による光熱費の負担を減らし、同時に環境への負荷を減らし、温室効果ガスの排出も抑える効果があります。まさに、お財布にも地球にも優しい対策といえるでしょう。
熱がウレタンの防水剤に悪影響を及ぼす
熱がウレタンの防水性能や見た目、耐久性に悪影響を及ぼす可能性があります。
一部のウレタン防水材では、熱が加わるとウレタン材料が変質し、見た目がデコボコになったり、柔軟性を失ったり、ひび割れが生じたりすることがあります。
これにより、材料の物性が低下してしまい、建物や素材への防水効果が損なわれてしまいます。
そのため、熱による影響を可能な限り避けることが劣化を遅らせる重要な鍵となり、遮熱対策が必須な理由の1つといえます。
劣化が早まり施工から2~3年で不具合が出る
一部のウレタン防水材では、熱の影響で防水効果の劣化が早まってしまい、施工してから2~3年で不具合が出てしまうことがあります。遮熱対策をすることで、熱からのダメージを少なくすることができ、メンテナンスの回数を減らすことが可能になります。長期的に見れば、コストパフォーマンスが良い上に、建物の寿命を延ばします。
熱によるダメージ報告が増加している
近年、塗装業界ではウレタン塗膜防水における熱によるダメージ事例が増加しています。
この背景には、塗装工法の変化が関係しています。従来、ウレタン塗膜防水は「2液型工法」が一般的でした。しかし、近年では「1液型工法」が増加しているという背景があります。
2液型工法では、2つの液体を混ぜ合わせて、均一に塗布し塗膜を形成します。
しかし、最新の1液型工法は、計量、撹拌の必要がなく、より簡便で施工が容易というメリットがある反面、一部の1液型製品は熱に対する耐性が2液型に比べて劣っている場合があります。
これは材料であるウレタン防水材の硬化メカニズムの違いが原因だと考えられます。
このため、最近の増加する熱によるダメージ事例は、新しい1液型工法の使用に起因する可能性があります。防水効果を最大限高めるには、熱によるダメージを軽減するための遮熱対策が必須といえます。
誤解して頂きたくないのは、1液型工法が2液型工法より劣っているという事ではありません。1液型は安定した品質を保つ事が可能であり、施工時間を短縮できる事で工事費用を抑えるといったメリットもあります。(詳しくは:防水工法記事(後日)へリンク)
まとめ
屋上やバルコニーの防水塗装は、雨水の侵入を防ぐだけでなく、遮熱対策も重要です。
特に近年の気温上昇により、遮熱は建物の劣化を遅らせ、エネルギー効率を向上させるために不可欠となってきました。
防水塗膜に用いられるウレタンは、熱によって劣化しやすいため、遮熱対策によって長期的なメンテナンスコストが削減され、環境への負担も軽減されます。
塗装工法の変化に伴い、1液型工法が主流になっていますが、熱によるダメージを考慮した選択が重要です。